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2011年8月 5日 (金)

小説「円朝」とその後

 小島政次郎の「円朝」上・下(1959)も「志ん生一代」に次いで、現在の愛読書です。「志ん生一代」が評伝を目指して叶わずに小説の形をとったとありますが、同じように芸の完成を求め続けた三遊亭圓朝の生涯をたどるこちらの作品は作者の創作が大きいです。
 とはいえ圓朝の事績をていねいに追って再編成しつつ、同時代の芸人のエピソードを要所に交えて、「芸の高みを追う」とはこういうことだろうと納得します。
 圓朝を彩る女性たちが前近代的な生き方をしていますが、魅力的でうらやましくなります。まあ、その圓朝の妻に関するあたりがフィクションなのですが。

Encho1

 物語は後半で圓朝の子・朝太郎を描き、偉大な父親に対して、堕落していく姿が痛ましい。そんな彼にも献身的な女性が現れます。圓朝が病に倒れ、朝太郎が再起しそうなところで終わっているのですが、その後が気になって、図書館で探しました。

 小島の弟子である正岡容の「圓朝」(1943)は彼が芸を求めて大成するまで、上野戦争で幕を閉じます。師匠の圓生に稽古をつけてもらうとき、「エー」と口ごもるたびに碁石を投げつけられるエピソードは、圓朝の弟子の圓馬と桂文楽の稽古の様子をほうふつとさせます。青空文庫でも読めます。

Encho2

 さらにその弟子の永井啓夫の「三遊亭圓朝」(1962)を図書館で見つけました。この書は詳細な伝記と資料・作品解題。これでやっと朝太郎の消息が知れました。浮浪者・ちんどん屋・墓堀人夫と転々とし、親戚や藤浦三遊宗家に金を無心に訪れ、関東大震災で消息を絶ったのです。身につまされます。

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