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2012年7月26日 (木)

「猪買い」は江戸でできるか 5

 こうやって、機会を得ていままでになかった知見に触れるのは楽しいものです。江戸初期には自分の町も鷹場だったなんて初めて知りました。明和元年(1764)の猪鹿被害の文書も残っているそうです。(江戸後期だったら!)
 もしかしたら、まだ歴史学者がきちんとまとめるまでの関心の高くないところにあたったのかもしれません。

 江戸近郊の動物というと、鷹狩の資料が大量に検索されます。いくつか目を通すと、家康~家光・綱吉・吉宗の鷹狩についての記述が多くを占めます。鷹狩の意味や起こり・鷹狩の中止・再開と主な変革を述べれば済むからでしょう。江戸初期にはそれこそ亀戸で猪狩りをしたそうですが、「亀戸の猪買い」では話になりませんね。

 それにしても鷹狩でも百姓は消耗を強いられたようです。鷹場付近では鳥は有害であっても鷹のえさになるので、取ってはいけない。鷹狩が始まれば動物の移動に伴って田畑を人馬が駆け回る。そのため、稲の収穫の後に田に水をはってはいけない。だから地味が衰えるし、また収穫の時期に制限を受けるのでその地にふさわしい稲を植えられず収穫が減る。鷹場の整備・鷹狩の準備と手伝いで労役を強いられる。さんざんです。
 また、鷹狩関係の役人の横暴もひどかったようで、江戸時代には住みたくありません。とにかく、獲物の鳥の居つきをよくするために、小鳥さえ追い払えないというのでは、雀の食害も大きく被害を与えたことでしょう。

Saitamashishi

 猪というと山に住んでいると思いがちですが、埼玉県のHPで現在生息の確認地図をみると、こんなに広く住んでいます。それこそ、朝霞市や和光市でも目撃情報があるそうです。江戸時代は平地であっても、田畑が今のように切れ目なく続いていたわけではありませんから、広く森林が残れば繁殖して田畑を荒らしにでてきたと考えてもよいのではないでしょうか。江戸時代に限りなく近いところで、明治初期の関東の地図を「歴史的農業環境閲覧システム」でみることができます。すくなくともそれよりは森林は多かったはずです。

 まだあまり進展がありません。また続けてみます。

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コメント

葛飾には小菅と青戸の鷹狩の時の休息所として「小菅御殿」「青戸御殿」が設けられましたが、するとこの辺の農民も苦労していたのですね。
まあ、それで「お花茶屋」という地名も出来たのですが・・・・

このあたりに農民の側の資料が少ないのは度重なる洪水で色々なものが流失してしまったからです。
我が家も古い事は古いですが、そういった資料は残っていませんね。
葛飾の「郷土と天文の博物館」には幕府が出した「御鷹狩」に関する資料はあるみたいです。

投稿: hajime | 2012年7月26日 (木) 12時39分

かつて私が住んでいた神戸では、政令指定都市であるにもかかわらず、今でも市内に猪がでて菜園を荒らしたり、ピクニックに来た家族連れの弁当を狙ったりします。
猪は本来は臆病な生き物ですが、下手に餌付けをしたため人間を恐れなくなってしまいました。
主に六甲山に生息していますが、たまに里にも下りて来るんですよ。
被害に対応するためにイノシシ条例なるものが神戸市にはあるはず。

そんな訳で関西人は割と猪に馴染みがある人が多いのかもしれません。

投稿: nam | 2012年7月26日 (木) 14時09分

hajimeさん、

最近、時として江戸はエコな町で理想的な生活だったという面が強調されるきらいがありますが、身分によることを忘れてはだめですよね。世が世なら…私なんか斬り捨てられて御免かも。

鷹場の指定が外れることを願っていた記録もあるそうですし、明治維新が割と早く受け入れられたのも、関係があるのでしょう。

それにしても、いろいろ本読みの幅が広がって、「鷹は1居・2居で数える」「犬は鷹のえさだった」とか無駄な知識が増えておもしろいです。

namさん、

私が学生時代を過ごした札幌では政令指定都市なのにヒグマがでます (^^;
ごみの始末も含め、野生動物の餌付けは問題を起こしがちですね。日光市はだいぶ改善したようですが。

今回、獣害を検索して調べていると、江戸時代後期の資料は本当に少なくて、現代のものはきりがなく見つかります。

投稿: snob | 2012年7月26日 (木) 17時17分

狼の導入に懸念がある人は http://japan-wolf.org/content/faq/

投稿: 名無し | 2013年1月20日 (日) 19時06分

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