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2012年9月25日 (火)

圓生の録音室(ちくま文庫)

 ふと、”圓生百席”の成り立ちを確かめたくなって、書棚から「圓生の録音室」(京須偕允・ちくま文庫)を取り出しました。(初刊行1978)
 ”百席”はたしか”人情噺集成”として世に出て、そのあと滑稽落語の録音”古典落語大全集”が出されて、のちに”百席”にまとめられたという記憶を確かめるためです。

 この本は、”百席”を企画した京須さんがそれをどう進め、どう完成したかを、圓生の芸に対するエピソードを交えて記録したものです。スタジオ録音で、プロデューサーと演者が一つの商品を紡ぎだしていくありさまを緊張感を持って描き出しています。

 同様の読後感を求めて、レコード化を拒んでいた志ん朝との経過を記した「志ん朝の走馬燈」(同)も読みました。そちらは独演会の録音で、演者と客が醸し出す世界を、脇から録音で記録した感があり、味わいが異なりました。

 思わず、いろいろなエピソードを読み直してしまいました。「淀五郎」について、サゲの「待ちかねたァ」がわかりづらいから「これは本当に待ちかねたのでございます」と付け加えることを批判しています。これはCDの中での芸談でもいっていて、こりゃ正蔵のことだろうとおかしかった覚えがあります。書籍ではさらにこんな余分なことをする噺家は腕がないまでいっています。付け足すのは多くの噺家がやっていたそうですが。

 肝心の「百席」の発行の流れですが、”人情噺集成”3巻と”百席”30巻という書いてあります。はじめから”百席”とタイトルを決めて圓生を説得した、とあります。図書館検索の中で「古典落語大全集」という登録になっているのは、もしかしたらそれは副題なのかもしれません。いずれ実物に当たってみましょう。
 実はカセットを一度借りたことがあります。”百席”CDの「三十石」と「三人旅」にはカットがあると読んだので、「三十石」だけ確かめました。「タレスキー」の部分がすっぽり抜けているのです。その時はタイトルを気にしなかったんですね。
 その後、1997年に”集成”と”百席”を足してCD”百席”になったとのこと。でも図書館のCD”百席”には1976~1979年のものもあるんです。そんな時代にCD(生産は82年)が出ていたはずがありません。収録年を発行年としてデータにしているのでした。

Rokuonshitsu


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コメント

この本を読んでいると、圓生師の人となりが大分判ってきますね。
正に芸中心に物事を考えている人だったと判りますね。
全ての事を良い高座を務める事だけを考えてるのですね。
それが誤解を産んでも構わないという姿勢。
色々意見はあるでしょうが、それも芸人としてひとつの生き方だと思わされました。
中々できませんけどね・・・(^^)

投稿: hajime | 2012年9月25日 (火) 21時51分

私も今、圓生百席のレコード・カセットについて調べています。
「古典落語大全集」というのはカセットのセット物のようですね。
カセットでは他に「古典落語名作全集」「人情噺全集」という
セット物が発売されていましたが、これらを合わせてもレコードの音源を
すべては網羅してないようです。私はこのうち「人情噺全集」のみ
所持していますが、30本組で1981年発行と記されています
もう少し詳しく調べますので後程またお伝えします。

投稿: にしの | 2012年9月25日 (火) 21時57分

にしのさん、私も今わかりました。

 「古典落語大全集」は抜粋ものでした。「録音室」にもタイトルを明記しないでSFCから出版したとは書いてありました。…とすると図書館ですべてはちょっと難しいのかもしれません。明日の予定で、検索結果の記事を書きかけていましたが、大幅に修正が必要です。

投稿: snob | 2012年9月25日 (火) 23時07分

hajimeさん、圓生のその点は演者として尊敬してやまぬところです。

 ちょうどNHKの「探検バクモン」の再放送録画を見終わりました。マンガの宝石部分と、とりまく石の部分も必要だという、明大マンガ図書館の礎をつくった米沢さんの信念が紹介されました。

 そういう視点がなかったとは思いませんが、ヨイショはできない性格だったんでしょうね。

 私も宝石の部分しかCDを聞き集める気はないのですが、寄席では前座からトリまで全部楽しみたいです。もしかしたら新しい宝石が育つかもしれないですから。
 あ、でもこぶ蔵のとき出てしまった…それは、忙しかったということで。彼もまた変わるかもしれない。

投稿: snob | 2012年9月25日 (火) 23時41分

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