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2012年10月14日 (日)

「寄席育ち」と「書きかけの自伝」

 このところ圓生ばかり聞いていることもあり、久しぶりに「新版・寄席育ち」(青蛙房・1999)を借りて読みました。もう3度目くらいかと思いますが、今回は「書きかけの自伝」(旺文社文庫・1985)とどこが違うのかという興味で借りました。「書きかけ…」のほうは初めてです。

 一人の人が2本自伝を書けば、内容が同じになるのは当たり前のことで、「書きかけ…」のほうが「寄席育ち」のサブセットのような内容でした。そうはいっても、「寄席育ち」はもともと1966年に発行されたもので「首提灯」で芸術祭大賞を取ったところで筆をおいています。だから「今の志ん生さん」のような表現がされていますが、「書きかけ…」のほうは、そのあと就任した落語協会会長・御前口演のことまでが記されて、「亡くなった志ん生」という表現になっています。
 逆にこの本があるから、「寄席育ち」は文庫に収められないのかもしれません。そして図書館には「寄席育ち」はあまねく蔵されているのに、「書きかけの自伝」のほうは数えるほどの場所にしかありません。

Yosesodachi

 改めて読んでみると、記憶力の確かさには舌を巻きます。幼いときから芸一筋、出会った芸人たちの描写もはっきりしています。義父の五代目圓生に頼ってきた芸人が、「志ん生一代」でその末路を描かれていて新たな驚きもありました。
 「文七元結」を志ん生と組んで上下に演ずるとやりやすく、金馬とではとてもやっていられないなど、その音源を聞いてみたいです。
 それにしても、芸に対して大いに口出しをしたがっているのがよく読み取れ、性格だなぁと。

Kakikake

 もう一冊「浮世に言い忘れたこと」も一緒に借りましたが、こちらはもう、題名通り言い残すことばかり。圓生自身も芸で高みに到達したからこそ言えるのだと納得しました。落語界の将来が心配だったのでしょうね。

Ukiyo

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コメント

 圓生さんって結構本を書いてるんですね。
 子供の頃から芸人やってたので、圓生さんは尋常小学校へ行ってなくて、読み書きができないってのをどっかで読んだ事があったような・・・

 志ん生も本を出してますが、志ん生はもちろん自分じゃ本なんか書く気はないから、全部、馬の助さんが口述筆記したって云われてますね。

投稿: 藪井竹庵 | 2012年10月18日 (木) 07時40分

 主なところでは「寄席育ち」「寄席楽屋帳」「正蔵一代」は山本進さん、「びんぼう自慢」が小島貞二さん、「なめくじ艦隊」が馬の助さんの記述によるものです。そのあたり、現代のタレント自伝ものと事情は同じでしょう。

投稿: snob | 2012年10月18日 (木) 08時04分

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