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2012年12月24日 (月)

志らくの落語二四八席辞事典(講談社)

 辞典と事典を兼ねたものなのでこのタイトルだそうです。自分の独断と偏見を書いたもので読んで面白いものを目指したと書いてあります。志らくの落語に関する思いが込められていて、どう演じるべきかという視点が顔を出します。その意見が正しいとは限らないので、突っ込みを入れてほしい、と。2005年発行、1500円。
 なお、こちらは「粗忽長屋」のタイトルで載っていて、「師匠の立川談志は主観長屋と銘打った」と紹介しています。
Siraku248

 この書も、50音順ではなくて、テーマ別(「粗忽者」「与太郎」「ご隠居」など)です。ただし最後に索引が付属するので、タイトルで探すのはこちらでできます。そして簡単な辞典が2ページちょっと、語句の説明をしています。

 では志らくの考えとは。

「昔の名人の物真似をしてもしょうがない。圓生の通りやるなら、圓生の音源を聞くよう勧めるべきだ。新しい落語を作らなくては意味がない。
 そうはいっても名人の通りやりたいという気持ちは必要。名人の形を自分の形にして蘇らせるのが伝統芸能だ。」
 だから「やぶ入り」には白旗を上げています。
「この落語、三代目金馬にしかできない、金馬のための落語。たまに血迷って演るが、金馬のビデオを見せたほうが、と後悔する」

時そば  ときそば   詐欺ではなくゲーム
 一杯十六文の二八そば。勘定を払うときに、「一(ひい)、二(ふう)、三(みい)、四、五、六、七、八、何時で?」。そば屋が「九つで」と答え、十、十一、十二、十三、十四、十五、十六、と一文かすめた男がいた。これを見ていた奴が、真似をして、「一、二、三、市、五、六、七、八、何時で?」。するとそば屋が「四つで」、男は「五、六、七、八……」。
 詐欺というほどのものではない。完全なるゲームだ。真似た男も、お金のためにやってはいない。遊び感覚だ。
 男がそば屋に「四つで」と言われた後、どのような心境で銭を払うか、これが問題だ。自分が損をしたことを知り、情けない顔をして払うか。それともまったく気がつかないで、はずみで払ってしまうか。
 どちらもありだと思う。粋なのは後者、笑いを求めたければ前者。情けない顔で泣きながら払ったほうがわかりやすい。
 高度なのは、ゲーム感覚で払うやり方だ。最初ははずみで、すぐさま損をしたことに気がつき、そしてゲームに負けた悔しさをあらわに、しかし、してやられたという相手をたてる、そんな表情で払う……難しすぎるか。でも、そういった噺なのです。

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