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2013年3月

2013年3月31日 (日)

圓生 首提灯ほか(ソニー) 

 取り上げようと思ったレコードの調査が足りないことがわかって、記事を書くのに、図書館で再び借りるのを待って、ペースが乱れました。
 早咲きの桜も週末までは何とかもって、柔らかな葉が混じってはいるけれど、上野の山は花見客であふれていました。梅はすっかり新緑に変わり、小さな実さえふくらみはじめています。

 圓生が、東横落語会で、期せずして芸術祭文部大臣賞受賞を受賞した音源は、CDが通信販売のセットでソニーから「圓生ライブ名演集」とユーキャンから「ザ・ベリー・ベスト・オブ圓生」で出ています。いつも参照している”落語はろー”の情報によると、両者は微妙に音源がかぶっていて、落語コレクションをしている人には悩ましいセット商品となってます。

 何度も記事にしたように、通販商品は図書館にはめったに入りません。その「首提灯」を含むレコード音源が、例によって文京区小石川図書館レコード室にありますので、そこで聞きましょう。
 ここのは、ソニーのレコード5枚で、シリーズタイトルはありません。圓生・レコード・ソニーで検索すると百席のレコードが多量に検索されますので、埋もれて見つけにくいです。

 それぞれの収録音源は、「塩原助一代記-青の別れ」「緑林門松竹-またかのお関」「操競女学校-お里の伝」「蒟蒻問答・首提灯」「しの字嫌い・くやみ」です。
 このうち、「蒟蒻問答」は、アポロンのテープと同じ音源です。
 昔は、レコードが返却されると貼り付けた返却日付表にスタンプが押されました。それが古くなって透けて見えるデータには1980年の発行とあります。没後すぐですね。そして、「蒟蒻問答・首提灯」のジャケットには、「この二つの噺は仕草が非常に大事な要素となっているので、百席からは外れた。しかし圓生亡き今は、ぜひ記録に残しておきたい」とあります。

 小石川図書館には他にもう1枚、圓生のレコードがあるのですが、これはあとでカセットと一緒に取り上げることにしましょう。

 

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2013年3月29日 (金)

人形町具足屋

 アド街ック天国もこの春アシスタントが変わるそうで、今や長寿番組となっていますが、第1回からずいぶん見続けたものだと思います。
 前回は人形町・甘酒横丁を取り上げていましたが、こういう古い町を取り上げるときは江戸から続く店はないかと考えながら見るのが、落語に戻ってくる前と違うところです。江戸からの老舗といっても高級呉服や料亭では分不相応ですから、甘味とか手軽な店が出てくるとマークしておきます。

 今回は、道筋を移動撮影するコーナーの中に、志ん朝の「幾代餅」の音声がかかったのに耳をそばだてました。古いおもちゃ屋が、どうやら江戸の昔は絵草紙屋をやっていて、それが「幾代餅」に出てくる人形町の絵草紙屋になぞらえてあったのでした。
 「実は先月女将さんのお使いで人形町に参りました。帰りに具足屋という絵草紙屋の前を通りかかったら、大勢人が集っていたンで、何だろうと思ってのぞいてみたら、きれいな女の人の錦絵が…」
 こんな具体的に店の名前を言っていたとは気づきませんでした。

 志ん朝の演出の中には、清蔵が錦絵に一目惚れをしたことを聞き出すシーンを省いて、女将さんが亭主に告げるところから始めるものもありますが、たいてい具足屋の場面を入れてます。
 確認したら、志ん生から伝わっているもので、馬生も同じようにしているし、雲助もそうでした。短縮版は菊之丞に受け継がれているのを聞いたことがあります。柳家のさん喬は、照降町の具足屋と微妙に位置がずれています。
 これが今も実在する店だったら間違いなく有名な”落語の舞台を歩く”サイトでも取り上げられたことでしょう。

 類似の噺である圓生の「紺屋高尾」では、花魁道中を見て高尾を見染めて、帰りに絵草子を買うんで、はじめっから絵に惚れる古今亭のほうがファンタジックになってますね。

 ※実際の具足屋は浮世絵の版元

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2013年3月25日 (月)

KitKatの出番

 今回のJR東海・新幹線キットカットは買わないうちに品切れになってしまいましたが、ようやく貯めていたキットカットを授業で使うときがやってきました。

 仕込みで、前回正解のご褒美にキットカット1ピースを渡したので、Did you eat Kitkat? と質問をしました。一人だけ、カバンの中に入ったままで、No, I didn't.

 続いて、スクリーンにちょっと前発売の抹茶キットカットを映します。Have you ever eaten it? 次に、ホワイトチョコ。このあたりで、そういうのあったとざわめきます。わさび・夕張メロン・キャラメル味と後を追うと、Yes/Noが混ざって、現在完了・経験の導入が終わりです。
 画面には、キットカットコレクション(の一部)を見せて、最後に感嘆を誘います。

Kitkat_collection

 もう10年近く前に、コンビニで何か授業ネタがないかとうろうろしていたところ、その当時毎月のように発売されていた、期間限定フレーバーのキットカットに気がついて、「食べたことがある・ない」に使えると思ってコツコツ集めはじめたものです。このところ発売頻度は減りましたが、ご当地フレーバーがいろいろあるのでおもしろいですが、使うのはこの一度だけです。

 みなさんはどれくらい「食べたことがあり」ますか?

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2013年3月24日 (日)

さん吉・その後

 下席のインターネット落語会に、とうとう柳家さん吉さんがでました。数日遅れでみたのですが、居住まいを正しちゃいました。

 去年の夏、寄席で古典落語を演るのを初めて見て、反射的に落語協会の送信フォームでリクエストした経緯はブログ記事にしました。
 あれから10か月はたっていますので、まさか私のリクエストに答えたわけじゃないでしょうけど、近年はテレビ出演も聞かないし、CDも発売されていないので、うれしいプレゼントでした。演目も浅草と同じ「粗忽長屋」。あのときは落語協会の観音さま参詣からネタに入りましたが、今回は芸人の話題あれこれから、定番の粗忽の小噺に切り替えて、本題に持っていきました。消えないうちにぜひ。
Sankichinet

 ちょっともたついた感がありますが、まずまずじゃあないでしょうか。記念にダウンロードしておきました。
 きちんとした力があるのに、漫談がうまいのでわかいころ、それを個性にしてしまったんでしょうね。古典で客を沸せるのはやはり難しい。でも今は漫談の人が多い。75になって、古典の価値を知らしめようというのは素晴らしいと思います。

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2013年3月23日 (土)

墨堤の桜と言問団子

 気持ちがクサクサするときは気分転換が必要です。お彼岸を兼ねて、何度となく通った隅田川の桜を眺めに行きました。

 予想外の桜ももう満開で、来週に予定していたイベントを繰り上げようとどこも懸命のようです。
 上野駅からいったん谷中へ遠回りをする東西めぐりんで上野の山の桜を眺めて、もう一度上野駅にもどって浅草に行きます。乗継券をもらっておいて北めぐりんでいつもの待乳山のところで降りて桜橋を渡ります。
 町会の屋台も汲み上げてありません。ぼんぼりを吊るすのも大急ぎです。江戸からの桜は代替わりをしたのでしょうが、並木としてはずっと守られてきた場所です。
 これだけ一斉に咲いてしまっては私の今年の花見はここだけでしょう。
Bukutei13a       Bukutei13

 先月食べた長命寺の桜餅には長蛇の列ができていました。塩漬けの桜葉を使うのですから、シーズンは関係ないはずですが、名前の桜が人を呼ぶのでしょう。
 すぐそばの言問団子はそこまでの混雑ではありませんが、満席でした。実は数十年わきを通って、この団子は食べたことがありませんでした。三色の団子のうち一つが味噌餡を使っているので敬遠していたのです。
 ところが、先週朝のTOKIO散歩でも、その前の古地図初心者の三宅裕司が歩くBSの番組でも、桜餅の山本やが定休日で言問団子に入るという同じ構成の番組が続きました。それで、興味がわいてしまったので、初めて店に足を踏み入れました。

 すぐに席が空いて座ったのですが、たちまち団子とお茶が何も言わないのに運ばれてきたのです。この日はもう他のメニューを用意していないので、自動的に出されるのだそうです。味噌餡も、味噌の味は感じず、三色ともおいしくいただきました。
Kototoi

 この団子も江戸末期から続く味です。言問の名前は明治になってつけられ、近くの言問橋や言問通りの名前はこの団子からだと店前の説明版にありましたが、これは初めて知りました。

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2013年3月21日 (木)

日本の行き先

 ネットサーフィンをしたのは昔のこと。いまは決まったサイトにしか行きませんが、NiftyのポータルサイトからWEB記事を読むのが習慣で、新聞を取るのはやめてしまいました。

 なんで日本は栄華を謳歌した短い時期から急速に落ちて行ったのでしょう(私個人はその恩恵に浴しませんでしたが)。東京大学でさえ、世界の大学ランクの中で上位とは言えないという現状だそうです。

 最近気になった記事:教育の限界と希望について考え込んでしまいました。

・日本人に英会話能力が必要http://toyokeizai.net/articles/-/13139

・震災時の生存率を高めた教育 http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1312

 話は変わっちゃいますが、近頃報道されていることも、WEB雑誌では、震災直後から「闇勢力がNPOをつくって震災補助金を食い物にする」と予見していました。あなどれません。

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2013年3月20日 (水)

言葉は波紋のように

 歌というと、正月七草の時に、一家の主がまな板で菜を刻みながら、「七草なずな、唐土の鳥が…」が、江戸期には吉原でも歌われていたという記述を最近読みました。
 昭和ひと桁下町生まれに聞いても記憶がないとのことですから、東京では早くにすたれています。落語「七草」では現・金馬さんが伝えている歌ですね。
 落語でしか知らなかったものが、地方では現役の風習だというのは数年前にニュース映像で知り、一人で歓声を上げたものです。文化の過去が周辺に残る実例でした。

 先週は、期せずして、一朝ウィークでした。TBS落語研究会、MX東京スカイ座、ラジオ寄席SPで春風亭一朝さんがかかりました。保存まではしませんが、好意を持って聞く噺家さんです。
 MXは再放送で「蛙茶番」でしたが、録画を流し見をしていて、ふと言葉が気になって映像を止めました。建具屋の半ちゃんが、緋縮緬の褌を番台で預かってもらうときに「大事な褌だよ、ぎられちゃいけねぇから油紙に褌をつつんで…」

 ”ぎる”というのは盗むことで、この言葉を聞いたのは数十年ぶりでした。国語辞典には載っていません。学生時代に旭川出身の友人が「おんじ(弟)に、ぎられた…」と言って意味が分からずに教えてもらった記憶が強く残っていたのです。
 久しぶりに聞いたということは、何度も繰り返し聞いた金馬や圓生の「蛙茶番」では”ぎる”は聞かなかったはずです。確認するとやはり”盗られる”と言っています。
 一朝さんの師匠の柳朝の音源ではもしやと思いましたが、やはり”盗られる”でした。NHK大河ドラマで江戸言葉指導とクレジットされた一朝さんですから意図して使っているのだと思います。足立区生まれで、古くは使われた言葉なのか。

 言葉は変化するものですが、方言は地方で言葉が変化したものではなく、文化の中心から地方に変化が伝わるというのが、柳田国男の方言周圏論です。つまり周辺のほうに古いものが残る。同じ方言が京都を中心に同心円状に見つかることから唱えられた言語地理学の基本的な考えとなっています。
 ”ぎる”もそうなのかなぁと漠然と思いをはせました。

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2013年3月19日 (火)

「愛宕山」のコチャエ節

 文楽・志ん朝の「愛宕山」で一八が景気づけに歌う「コチャエ節」ですが、「お前待ち待ち蚊帳の外」で始まるので、長らく気づきませんでしたが、「お江戸日本橋七つ立ち」と同じ曲あるいは替え歌だったのですね。

愛宕山での「コチャエ節」

お前待ち待ち蚊帳の外 蚊に喰われ 七つの鐘の鳴るまでも コチャ

七つの鐘の鳴るまでも コチャエ コチャエ

お前は浜のお庄屋様 潮風に吹かれてお色が真黒け コチャ

吹かれてお色が真黒け コチャエ コチャエ

 江戸の俗謡にはまったく知識がないので、ネット情報の受け売りになってしまいますが、明治に「コチャエ節」として流行したのは天保期の「羽根田節」のリバイバルだそうです。その「羽根田節」も元は甲斐地方の盆踊り歌とか岡山備前太鼓唄が元とかかいてありましたが、備前太鼓唄を検索すると”天保期以後、江戸の流行歌「こちゃえ節」の替え歌”とか見つかるので、ネット情報を鵜呑みにしてはいけません。
 ※その後、天保の「コチャエ節」が明治に「お江戸日本橋…」になったという江戸研究家の書き込みも見つけました。どれが正しいのか…

「東海道中上り歌」の一部

お江戸日本橋 七つ発ち 初上り 行列揃えて アレワイサノサ 
コチャ 
高輪 夜明けて提灯消す コチャエ コチャエ

恋の品川 女郎衆に 袖ひかれ 乗りかけ御馬の 鈴ヶ森 
コチャ
大森 細工の松茸を コチャエ コチャエ

 こういう録音も楽譜もない時代の流行歌は、伝わる中で歌詞が作り変えられ、メロディも変化していくのは必然だったのでしょう。また、俗謡はメロディそのものもそれほどダイナミックではなく同じように聞こえる曲もあるので、「お江戸日本橋」と「お前待ち待ち」が同じ曲とは認識してませんでした。岡山のを聞くと、民謡っぽくこぶしが利かされて、別の曲にも聞こえます。
 囃し言葉のコチャエが共通するのが特徴ですね。

「備前岡山太鼓唄」

備前岡山 西大寺町 大火事に 今屋が火元で 五十五軒 コチャ

今屋が火元で 五十五軒 コチャエ コチャエ

 私が30年以上前に卒業した大学は、今でもそうかはわかりませんが、飲んだら(飲まなくても)校歌・寮歌を歌いまくる学校でした。
 その一つに「ストームの歌」というのがあって、よーく考えたらこいつも同じだ!と気付いたのはつい最近でした。

札幌農学校は蝦夷ヶ島 熊が棲む 荒野に建てたる大校舎 コチャ

エルムの樹影で真理解く コチャエ コチャエ

札幌農学校は蝦夷ヶ島 手稲山 夕焼け小焼けのするところ コチャ

牧草片敷き詩集読む コチャエ コチャエ

札幌農学校は蝦夷ヶ島 クラーク氏 ビーアンビーシャスボーイズと コチャ

学府の基を残し行く コチャエ コチャエ

 で、青森県立青森高校(旧制青森中学)にもほとんど同じ歌が伝わっているようで、HPで発見してびっくりです。

青森高校は陸奥の国 夷住む 荒野に建てたる大校舎 コチャ

ポプラの木陰で 真理とく コチャエ コチャエ

青森高校は陸奥の国 津軽崎 夕焼け小焼けのする所 コチャ

クローバ片敷き 詩集読む コチャエコチャエ

 距離も近いし、あまりに似ているので、どこかで歴史が交錯していると思われますが、不明です。青森高校卒業の北大生に話を聞いてみたいものです。
 いずれにせよ、落語にも残る江戸の流行歌が各地に伝わった様相が残されていて興味深いものでした。

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2013年3月18日 (月)

柳田格之進(5)

 ここから蛇足になりますが、たまたま資料を続けて見つけたので、記録に残します。もともとこの噺より、「井戸の茶碗」のほうが好きで噺の構成もオチも完成度が高いと思います。このところ志ん朝ばかりを聞いているのですが、「井戸」に目頭を熱くしました。

 圓楽の「柳田」も借りて聞いて、以前の記事に追加をしました。やはり娘の扱いで苦心していますね。
 というわけで、明治の柳枝の速記を見たくなりました。探してみると、落語速記の「百花園」は国会図書館にはありますが、どの号に掲載されているか、検索ができません。しかし、復刻版が講談社から「明治大正落語集成」第2巻に掲載され、利用が容易です。

Mtrakugo

 タイトルは「碁盤割」です。さすがに長いので概要を記しますが、喋りだしは

 エー今日は碁盤割と申します一席話を御披露致します。
 藤堂様の御家来に柳田格之進という御方が御座ります。故あって御浪人を遊ばし、浅草の東仲町に裏店住居をしておいでなさります。その地主が越前屋作左衛門と申しまして、至って豊かに暮らして居ります。……もっとも此の話は随筆にも御座いまする。


 と、固有名詞が多少違います。柳田と主人が碁を囲む場面は簡略で、番頭の久兵衛が財布を渡したことは柳田の帰宅ののちに回想されます。金がなくなっていることがわかって何度も探した後、番頭が疑いをかけて、主人が否定するのは同じです。金額は百両です。

 イヤ……久兵衛、それはおまいの料簡違い……どうしてなかなかあの方はそんな方でない
 あなたは惚れていらっしゃるから御疑いなさるまい……(略)私はあの方の目の据わり様が気に入りません
 それは剣術を御使いなさるから…剣術を使う方は皆そうだ。剣術眼といって据わっているものだ
 イエ……剣術眼ばかりではありません……泥棒眼も少しは雑じっております

 そして、番頭が柳田のところに探りに行き、柳田が認めないので訴えでるとおどします。柳田は、長く浪人していたが、重役の尽力で帰参が叶うことになっていると、身分に係る。自分はいいが重役に悪い。その場にいなかったことにしてくれと頼みます。
 番頭が拒むので、明日百両を返すからと大小の刀を預けます。話をすると主人も驚いて、「人は見かけによらないものだ」と納得するのは、原話の通りです。翌日番頭が再び柳田を訪ね、金を受け取ります。そして金が出たら首を取る約束になります。やがて柳田は帰参して立ち去り、越前屋では柳田がずるかったのだと思っています。

 そして煤払いで額の裏から金が現れます。越前屋は迷わず和泉町の上屋敷に柳田を訪ねさせます。そこで出迎えるのは柳田の妻、菊。金を返すという久兵衛に柳田は、お前にやるから世話になった奉公人に何でも買ってやれ、その代り首を持って来たろうな。番頭は店に飛びかえります。

 ご勘弁ないか。…仕方がない……何と仰るのだ
 私は頓でもないことをしました……あの時厳しく掛合われ、長の流浪中で蓄えも薄かったから息女の身を沈めて才覚した金だと仰りますのです。あの百両の金はお嬢さんの身を沈めて御返しになったのだそうです
 嗚、そうかお嬢さんの身を沈めて……何とも気の毒千万……


 なんと娘、花を身売りするのは夫婦の相談づくだったのです。そして柳田は挨拶抜きで越前屋に上がり込み、碁盤を座敷の真中に置く。とった首の台にでもするのかと主従が思っていると、立ち上がって見事に真っ二つ。

 作左衛門殿……此の品さえなかったらば、懸る間違いは起こらなかったろう。御貴殿も拙者も同じこと、此の後は慎みましょう
 と格之進殿碁盤を割って、ご勘弁に相成った。格之進碁盤割という一席で御座ります。


 花のことには、触れずに終わります。明治25年の「百花園」掲載。娘への配慮は、柳田家も柳枝も客にもなかったと思われます。

 比べてわかりましたが、私がここに書くまでもなく、「千字寄席」サイトのあらすじがこれですね。

 「百花園」は国会図書館にも欠巻があるそうですが、この4月からデジタル復刻されて全240巻を日外アソシエーツから配信されることを知りました。高精細度デジタル画像による復刻プロジェクトとのこと。http://www.nichigai.co.jp/feature/hyakkaen.html に詳細。

Hya_gazo1

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2013年3月16日 (土)

that & those

 今の小学生たちには、this と that を区別するために、意識的に手元のテーブルでカードを使うときはthis、後ろのスクリーンにプロジェクタで写したものを指すときはthatと使い分けています。

 これが学校現場では、スクリーンはすぐ後ろの黒板に吊り下げたのでthis、教室の背面にマグネットや画鋲で貼りつけたものをthatで使い分けていました。だから今もついスクリーンを指してthisと言いそうになってしまいます。

 5年生が、ようやくthis, theseの単数・複数の使い分けができるようになったので、スクリーンのものをthat, thoseで指せるように訓練を始めました。
 動物のシルエットで何の動物か当てる(手元はカード、スクリーンはフラッシュムービー)を使ってきましたが、自分でも飽きた=生徒はもっと飽きる、なのでちょっと目先を変えました。

 いくつもの四角の色を覚えて、一つずつどの色なのかを思い出し、That is ...で言う。次に同じ色の四角を、まとめて何色か Those are ...で言う、というものです。
 現段階では、itやtheyで答えることになる、What colorでの質問はしません。

           

 まず、パワーポイントで一コマずつ作って、ispringでフラッシュムービーに変換しているので、色の位置は固定です。Flashをつかって、アクションスクリプトで色をランダムに配置することも考えないでもないですが、あと一回くらいしか賞味期限はありません。30分かからずにできるパワポでもう1パターン作っておけばいいでしょう。

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2013年3月15日 (金)

入門期のフォント(再)

 いつの間にか、たま~に検索される中学入門期用のアルファベットフォントがDLできなくなっていたので、左のペインにアップしなおしました。

Textbookfont

上のCourieとの比較

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2013年3月14日 (木)

How manyで質問させたい(5)

 小学生に Do you ...?の疑問文を使わせたい。今までは苦肉の策で、Yesと答える質問ができたらポイントをあげる、という活動をしました。

 今年は、Yesと答えたら、Weで文をつなぐようにしました。つまり、自分がDSを持っていたら、Do you have a DS? と質問して、Yes, I do.で答えてくれたら、We have DSs. とつなげられて課題クリアという設定です。haveの他にplayやlikeでもよい。つまり自分と傾向の同じ人を探す活動に変わりました。
 このほうがちょっぴりよかったような印象です。

 前にやった、星型やハート型のパンチで穴をあけて、How manyでいくつあるのか質問するを再現したところ、今度の生徒にはウケがよくない。子供だから言われたとおりにやりますが、意欲があるかどうかは見てわかります。

 そこで次の週にちょっとした工夫を思いつきました。

 各自が5種類の形をいくつかずつ手の中に持ちます。一人が、How many hearts do you have?と聞けば相手はI have ...で答えます。次の相手にもHow many stars do you have? などと聞いて、全員の答えを集めて合計が8にする、というものです。合計数はその都度設定できます。
 次の生徒が質問するときは、改めて図形を持ち直しますが、簡単にできます。
Punch

 数を聞く目的も与えられるし、どの図形を聞いてやろうかと真剣に考えて英語を使います。これは定番にしましょう。

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2013年3月13日 (水)

江戸の震災

 BSの「謎解き 江戸のススメ」は、江戸の知識を広く取り上げてくれる番組ですが、NHKの歴史番組と違って、”新しい発見”が映像化されることは少ない感があります。そして予算がかかるのでしょうね、CGが少ない。それがこのところ調子が良い。

 先日はやっと江戸城をテーマにして、その内部をCGで再現していました。たぶんどこかの研究成果を使っているのでしょう。焼失した天守を映像化しましたが、周囲に他の建物がありません。空き地に天守閣が建っている感じです。
 内部CGウォークスルーは素晴らしいものでした。このディテールで、江戸城全体を復元してくれるとうれしいですね。

 最近では、落語「くしゃみ講釈」にでてくる「八百屋お七の覗きからくり」を、保存・再現している映像も、目を引きました。

Osichi

 今週の番組では、テレビ初公開の資料を見せてくれました。「江戸大地震之図」という国宝です。ちょっとネットで探してみましたが、紹介する書籍もまだ見つかっていません。もっとよく見たいと思う資料でした。

 月曜日なので、ちょうど震災から2年目。一日中震災関連の番組が放送されたようでしたが、あわせて安政大地震の貴重な資料をだしてくるなんて、考えたものです。
 熈代勝覧のような絵巻物構成で、地理的な移動ではなくて、時間軸の移動―地震前の暮らし~被災時~復興までをまとめた独特な視点で描かれています。江戸東京博物館でも公開した形跡がありません。
 いずれちゃんと見るのが課題となりました。

 それはのちのこととして、番組内で正対した映像をつなぎ合わせれば絵巻を再現できるかもしれないと録画をキャプチャしてみましたが、上手くいきませんでした。とりあえず全体像です。

Anseijisin

 国会図書館なら何か資料があるかもしれません。国宝なので、WEB上にその図が簡単に見つからないとは思いませんでした。ちょっと腰を据えましょう。

 

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2013年3月12日 (火)

落語はろー 祝!柳橋リスト

 落語はろーのページに柳橋のリストが追加になりました。図書館での柳橋探索は、たぶん、数か月前に終わったはずでしたが、リストを参考に見直す必要があります。

 なにしろ、この世の中にこれだけ網羅したリストは世に存在しません。演者と出版社の組み合わせで検索して、どれだけの音源を発見できたことでしょうか。
 おまけに、ラインナップが自分の趣味と一致している、というか、聞き集め対象の噺家が、今回の柳橋で小三治以外そろいました。
 告知だけされて公表されていない柳好と円歌がありますが、柳好はカップリングされて聞いた限りは食指をのばすかもしれません。円歌は声質が好きになれません。
 このラインナップが趣味と一致したというよりも世間にいう”名人”は共通であるという事実の反映でしょう。

 落語ファンに戻ったとき、圓生から始めました。「圓生百席」をまず聞いて、入ってない演目を他のCDで聞けばいいかなくらいに考えてました。ところが「百席」には「百席」なりの価値がありますが、ライブのほうがずっと楽しい演目もあることに気付きました。
 次いで同じライブでも、寄席や放送では制約がかかったり、そのときどきの出来もあることがわかってきました。そうなると必要なのがどんな音源があるのか、です。

 これだけの音源を揃える…私はもとより競うつもりもないし、肩を並べることさえもできないでしょう。でもどこの図書館にあるかを調べると、違う意味で役に立つかもしれません。

 それに今回、柳橋先生が加わったわけです。落語はろーは、私と違って、ラインナップの音源全制覇を目指しておられますから、放送されたっきりで発売されていないものもあります。そういうものも、TBS音源であればラジオ寄席で再放送されるのも待つ楽しみもあります。
 ざっと見た限りで、未知の市販ビデオがいくつかあります。丹念に図書館を当たれば見つけることだってあるかも。

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2013年3月10日 (日)

林家正蔵はなしの世界(東芝)

 スタジオ録音で客なしのレコード2枚組5セットです。正蔵の高座はライブでもそれほど客が笑い転げるわけではないので、スタジオでもあまり変わらないといえます。1974年のレコードで、ややゆっくり語ってます。
 その10年前の音源と比べると、そちらはよほど聞きやすい。最晩年、彦六を名乗ってからの音源はもっとゆっくりになっていますから、テンポがいかに大切かわかります。1950年代の録音は片手ほどしか残っていなくても、そのころは客席もわいてます。

Hanashiworld

 国会図書館には全5セットありますが、訪問してもいまだ聞かないままです。部分的に持っている、新宿区(vol.1)と文京区(vol.3)埼玉県立熊谷図書館(vol.5)では借りて、自宅でのんびり聞きました。盤面の状態は良好です。

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2013年3月 9日 (土)

教育と体罰(3)

 近頃は清原番長の体罰で鍛えられた発言が話題に上がっていますが、スポーツの場合手っ取り早く見かけだけ従わせることが、将来にわたって有効か疑問になってきているわけです。
 モチベーションのない選手は去ればよい、というのが基本だと思います。

 では、学校は?
 報道された中に気になる件がありました。授業に遅れてきた生徒が暴言を吐き、誰が言ったか黙っていたため全員を叩いたというものです。
 あの先生はどうすべきだったでしょうか。

 「そのようなことをしてはいけない」と言って授業を始める
 授業に遅れてきたこと自体を咎めない
 誰であるか認めるまで、事情聴取を続ける

 どのやり方でも禍根を残すような気がしてなりません。

 会社は不適切な行動をとる社員を排除できます。学校は生徒を排除する手段を持っていません。だからいじめをする人間が幅を利かせて、いじめられた人間が学校を逃げ出すしかないんです。
 アメリカも「暴力教室」に象徴される(あれは映画ですが)荒廃を経験しています。それが体罰なしに改善されたのだとしたら、そのやり方も探るべきかもしれません。

 私は、数十年前、生徒に立ちはだかった黒磯の女性教師が刺されて死んだとき、いつかは自分の番になるかもしれないとひそかに覚悟をしました。だから玄関で消火器をぶちまけている生徒は、その粉を浴びながら一人で抑えつけましたし、集会の最中に暴れだした生徒は、全教師・生徒が誘導されて外にでたあと一人残って押さえ込みました。

 学校にはすべての人間が入ってくるのです。社会に警察が必要なら、学校内にもその役目が必要です。予算なしに改革しようというのは間違いです。教師の体罰のない体制をつくりあげてくれるといいんですが。

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2013年3月 7日 (木)

珍しい噺と湯島の梅

 もしかしたら京浜東北線の駅に最も近い文京区図書館は、こないだ存在に気付いた天神図書館かもしれないと思って、返却に行ってみました。

 お供は携帯に落としたラジオの録音です。録ってすぐに聞いていなかったので、気づかないままでしたが、私にとって珍しい音源が放送されていました。
 NHKの白酒の「替り目」は今の噺家らしく新しいくすぐりを入れ込んでいましたが、意外だったのはうどん屋の件にすすんで、「銚子の替り目でございます」のサゲまできちんと演っていたことです。亭主ののろけを女房に聞かれるまでで切ったのは志ん生の工夫ですが、「古典落語」でそのサゲを知って気に入ってました。先代圓遊のNHKCD音源以外にはないのかと探したこともありました。雲助門下ですから、古今亭系なのにここまでやるのは期するところがあるのでしょう。
 もっとも、志ん生だからこそあそこで切ってサゲが成立したのかもしれません。

 もう一つは文化放送の馬風でした。この人の漫談は同じネタを聞いても笑わしてくれる上手さがありますが、たい平との対談で、小さんに惚れぬいたことを吐露したのは平生と違いました。そして放送されたのは「大名道具」。この噺は艶笑落語を集めた書籍で読んだだけで、まさか放送でかかるとは思いませんでした。こういう噺も馬風の独壇場ですね。

 天神図書館は湯島図書館よりも湯島天神に近い、というより並びです。湯島天神の男坂は崖を一直線に上りますが、同じような坂が何本か並んでいます。
 前回は携帯を持っていかなかったので、天神境内をまた歩きました。もう屋台もしまう時刻で男坂のふもとの湯島聖天は門が閉じていました。ここには江戸名水の一つ柳の井戸があります。
 くれかかる境内はもう梅の香でいっぱいでした。梅祭りも、もう明日までです。一気に上がった気温で散るのも急ぐことでしょう。

Yushima

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2013年3月 4日 (月)

図書館にお願いしたら

 昨日、内容をパラパラと確認して本を借りたら、以前に借りたことのある本でした。図書館では個人が何を借りているか、記録を持っていますが、返却した時点ですべての情報を破棄します。自分でちゃんと記録しとかなくちゃ。

 所在地を超えた広域貸し出しとOPACを使ったインターネット貸し出しの恩恵にあずかって数年。本当に助かりました。どちらかがなければこうも落語音源の聞き集めはできなかったでしょう。もちろん、貸し出しは無理でも館内視聴をさせてくれたところにも助けられました。

 貸し出し準備ができたときにメールをもらうように設定しているのに、そのメールを確認後に削除していました。これからはちゃんとメーラーに保管したほうがよさそうです。

 インターネット予約をするときに図書館カードの番号とパスワードを入力します。ブラウザにパスワードを記録すれば作業は楽です。でもいくつかの町の図書館は情報の記録をしないように設定されています。
Password

 もちろん個人情報秘匿の大切さは分かります。では図書館は何を守ろうとしているのでしょうか。尋ねたところ思いもよらない理由を教わりました。過去に借りた本の履歴はもとより、現在借りている書籍から思想傾向がわかる、というのです。

 考えただけで死刑さえ与えられた時代が、ほんのわずか前にあった。国によっては今でもある…

 私はデフォルトブラウザをChromeにしてるので、拡張機能をいれました。するといつものように確認の表示が出てカード番号・パスワードの記録を保存するようになりました。

Passwordsave

 Chromeの場合、ログインして使っていると、お気に入りやこの情報を他のマシンのChromeと共有してくれます。

 ところが、拡張機能をいれてもなお、埼玉県立図書館など記録を拒否するサイトがあります。

 地元の図書館もそうでした。保管するかどうかは自分が決めてもいいでしょ。そこで、訪問したときにお願いしたら、拡張機能が有効になりました。お役所も柔軟になったものです。

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2013年3月 3日 (日)

リサイクル?

 中学2年生にはもう教科書読みをほとんど訓練しません。より問題を解くトレーニングに時間を割くようになりました。

 しかし、小学6年生とは練習をします。ある程度、教科書に載っている文法事項順に教えて、本文を読むことが、入学してからの授業対策になります。

 去年の春から切り替わった教科書で、新1年生を教えるのは初めてなので、教科書理解の教材を今作っています。
 その中にペットボトルのキャップ回収運動が掲載されていました。集めてNPOに送るという者です。何の気なしに詳細を知ろうと思って調べ始めたら、Wikiですが、活動に対する疑問が並べられていました。どんな活動にも反対の立場があるのは当然ですが…。

 昔話題になった「プルタブ回収で車いす」を思い出してしまいました。教科書にのせてしまっていいのかなぁ。

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2013年3月 2日 (土)

拳(けん)

 江戸関連の本を読んでいたら、ジャンケンは「長崎で中国人の遊びをまねて始めた」とありました。はじめは、双方が手の指を出して、同時に数字を言い合って、指の合計本数と数字が合っている方が勝ちというゲームだったとのことです。
 子供の遊びではなく、流派があって師匠がいる本格的なものでした。

 拳にはいろいろなやり方があって云々は知っていました。文楽の「素人鰻」でも鰻職人の金が酔っぱらって拳をせがむ場面があります。狐・庄屋・猟師の狐拳や虎・和藤内・母親のお座敷遊びはテレビで見ました。

 しかしこの指の数字のことは知りませんでした。すぐに思い出したのは学校での子供たちの遊び。両手の親指だけを使って、出した指の本数の合計を言い当てるゲームです。当てた人間は使える指が減ります。つまり2回当てれば勝ち抜けになります。
 ジャンケンと同じで多人数でできるのが古い拳とはちがいますが、もしかしたらどこかでつながりがあるのかもしれないし、単純だから無関係に発生したのかもしれません。

 ALTが学校に来るようになって、ジャンケンを英語でやることを教わりました。"Rock, Paper, Scissors, One, two, three"と掛け声をかけるだけの違いですが。

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