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2013年4月 1日 (月)

柳田格之進(6・前)

 これで最後の蛇足です。

 講談ではストーリーはどうなっているのか。京須氏の「ガイド落語名作100選」では今でも講談の席にたびたびかかるとあります。WEBではその通り口演の記録に出会うのですが、探し方が悪いのか、講談CDが見つかりません。

 そこで、講談速記にあたることにしました。でも、これがない。いくつか図書館で講談速記全集を開いても「柳田格之進」、「碁盤割」がないのです。なんといっても、講談の書籍を検索すると、講談社の本が軒並み引っかかって邪魔をします。検索システムがおもんばかってくれて書名だけでなく出版社名まで探してくれているのでしょう。

 そんな中、国会図書館で3点、速記を見つけました。すべてデジタルデータとなっていて、2点はインターネット公開されています。のこり1点はデジタルですが、館内公開ということで訪問して印刷を依頼しました。

1.桃川実 「桃川実講演・柳田堪忍袋」(明治35)
2.桃中軒雲右衛門 「雲講演全集・柳田角之進」(大正6)
3.神田松鯉 「続講談落語集・柳田堪忍袋」(明治44)

 3の保護期間が終了していないのは、複数演者のアンソロジーのためでしょう。2は浪曲です。それぞれ大幅に肉付けされていますし、デジタル公開もされているので、あらすじを記します。


 「エー、今日より柳田萬齋の堪忍の額面と申しまする講談を申し上げます」とはじまります。柳田は人付き合いのできない性格で、讒言で備前家を浪人すると、細君は気を病んで亡くなります。
 娘のおみちを連れて江戸に出て、浅草に居を構えます。なにしろ、手習いや素読の指南の能力はあっても、好まず、傘貼りや鰻の串削りなどで生計を立てます。
 やがて萬屋徳兵衛と知り合って碁盤を囲むうちに金がなくなります。この徳兵衛は勝ち逃げをしたと柳田に腹を立てていますが、番頭の金兵衛が柳田を疑うと、そんなことはないとかばいます。
 そこで、息子の徳三郎が姿を見せて、柳田の潔白をうけあいます。もう、何のためのキャラなのかわかりますね。番頭は丁稚の長松を連れて柳田宅にいきますが、柳田が応対するなり「この裏は抜けられますか?」と落語ばりのクスグリが入ります。のちのちこの長松との掛け合いが間に入ります。
 番頭の疑いに立腹した柳田は刀に手をかけますが、娘おみちがとどめ、金を返す話になって番頭は引き揚げます。

 父娘二人になって、柳田は疑われては切腹するしかないと覚悟を告げます。するとおみちのほうから、吉原に身を売ってくれるよう言い出します。
 すると、話を聞いていた隣人の念仏市兵衛が、たまたま女衒で、松葉屋半蔵の信頼が厚いと口を挟みます。しかも松葉屋の楼主が実に話の分かる人間、1年間五十両を貸して、娘は見世に出さずに預かるだけということになります。文七元結の設定ですね。
 その金は「主人・番頭・息子の首をもらう」との約束のもと、金兵衛から徳兵衛にわたり、あんな浪人と付き合うのではなかったと番頭をねぎらいます。

 暮れに、煤払いの胴上げで、額の裏の財布が見つかります。後悔して柳田の家に人をやりますが、その二日前に立ち退いていますし、隣家の念仏市兵衛も急病で死んでいたので、事情を知る者がいなくなります。

 年明けて、年始帰りの番頭は柳田と道で出会いますが、そのとき柳田は仕官などしていません。それどころか破れ扇で顔を隠して道に茣蓙を敷いて謡曲を歌っています。なんと乞食同様の暮らしです。
 銭を恵もうとした番頭から、金発見の事情を聴いて、柳田は徳兵衛かたに同行します。

 そこで徳兵衛の女房・息子を巻き込んだ主従のかばいあいがあり、柳田は彼らを許し、碁盤をたたき切ります。
 そこで酒宴となり、事情を知った徳兵衛が、おみちを身請けして、息子徳三郎と娶せることになって一件落着。
 その後、柳田は娘夫婦とは別に向島白髭に隠居しました。

 ブログの字数が尽きようとしています。もう一回だけお付き合いください。

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