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2013年5月 2日 (木)

大工のきさっぺ~江戸時代漫筆

 このところ書籍に取り掛かっています。それも面白くって読書しているわけじゃないので、時間がかかってしょうがありません。

 たとえば、「文七元結」で、冒頭、長兵衛がばくちで素寒貧になって帰る場面で「丁にはれば半、半にはれば丁、丁と半の両方にはったら賽が重なって…」とありますが、果たして「両方にはる」ことができるのか。サイコロが重なるのはあり得ると思います。カップとダイスで重ねる芸もあるわけだし。丁半ばくちでは重なったら胴元が総取りとなるのか。
 こんなことが噺を聞いていると頭をよぎります。ばくちのルール本ってあるのかな?あったとしてもわざわざ借りてまで調べる内容ではありません。

 今読んでいるのは、石井良助「江戸時代漫筆」(明石書店)全7巻です。東大の法学の先生の本で、江戸の法制度について調べたものです。だから面白エピソード(になりそうなものもあるのですが)ではなく、それが拠っている実在の文書から江戸の法整備や慣習法について記述してあります。

 この本は1959年に法律雑誌連載が2冊にまとめられ、その後続刊に発展したものです。出版社を変えて新装版が出たりで、図書館を見ると10冊以上蔵書していても全巻そろわなかったりします。

 第1巻「江戸の町奉行」第2巻「江戸の遊女」第3巻「盗み・ばくち」第4巻「人殺し・密通」第五巻「将軍の生活」第6巻「商人と商取引」第7巻「江戸の離婚」
 このようにタイトルされていますが、1・2巻では代表的な記事がタイトルになっています。総論的に一通り記事にしたのち、3巻以降でかなり詳しく調査・展開されたものがあります。
 読んでいると、50年以上前のものですので、おそらくそのあとの江戸本のベースになったんだろうなと思いました。

 1巻は、もちろん奉行システムの記事が多いですが、最初は「帯刀」で始まります。次の記事の「苗字」の記事と合わせて、武士の特権について書いてあります。

 姓は武士しか名乗れないものでした。百姓町人のなかにも隠し姓を持っている者もいましたが、おおっぴらに使うことは禁じられていました。人別帳にものりません。
 それだから、姓を使うことを許可するのも政治的恩恵としてあったそうです。お金もかかりませんしね。それで町人がありがたがってくれれば安上がりです。江戸府内での帯刀より安易です。
 孝行者などの特別な功労で名字帯刀を許した場合も、帯刀は一代限りであっても名字は子孫まで許されたそうです。

 これを読んだとき浮かんだのは、小噺で、「大工の山田喜三郎さんをご存じではありませんか?」「大工?おいきさっぺ、知らねぇか」「俺だ。死んだ親父にお前の名前は山田喜三郎だと…」
 何代か前に名字を与えられて、ふだんは使ってないが、伝わってはいるというという状況を当てはめてしまいました。
 何を読んでも落語に引き寄せてみるのは病気ですね。

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