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2013年7月 6日 (土)

デジタル鳥瞰 江戸の崖 東京の崖(講談社)

 立川博章さんの鳥瞰図は、四角に区切った地図を斜めから見るように透視法で台形に変形します。さらに、それに加えて、等高線にしたがって、土地を持ち上げています。

 こういう作業はPCが得意にするところで、最近の書籍ではカシミール3Dを使った立体図を使用している例が多々あります。

 芳賀ひらく氏の「江戸の崖 東京の崖」(2012年)もそのひとつです。現在の崖の成り立ちを説明するには江戸の地形からの解き明かしが必要です。自然地形だけでなく、人口地形:刻まれた坂、流路を変更された河川、土地を造成された海は江戸時代に起源があるからですね。

Gake

 第2章から都内各所の崖を個々に扱いますが、最初は日暮里の崖。高い建物がなかった幕末明治に日本を訪れた外国人には、この横浜まで断続的につながる崖が”きわめて印象的な光景”だったろうと書いています。

 見開きページを使ってカシミールの描く地形に航空写真をテクスチャとして貼り付けたものは、高さ方向を強調して日暮里の断崖を目に見せてくれます。

 麻布の崖、大森の崖、御茶ノ水の人口の崖と話題は続き、第7章で、切り崩されて日比谷入り江を埋めた神田山とは、実際はどこだったのか考察していて興味深い。

 断定は避けつつ、明治の地図から山の上ホテル辺りではないかと考えているようです。 章の合間にコラムがいくつか挟まれます。”九段坂は崖だった”というのは明治の市電が九段坂を避けてその脇にわざわざ専用の線路を築いている。当時の資料で計算すると九段坂の角度は9度以上でとても碓氷峠をはるかに越える、崖に近い急坂だったというものです。

 小説「圓朝」などでも九段坂下の立ちン坊(荷車を押して駄賃をもらう)が描かれますので、その光景を思い浮かべます。

 国分寺崖線の項目ではタモリ倶楽部・ブラタモリで採用した年代の間違いを指摘しています。

 地図だけでなく東京の崖の写真を豊富に掲載し、世界に類を見ない脆弱な土地にある都市、東京に警鐘を鳴らしています。

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