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2014年1月14日 (火)

大名庭園~江戸の饗宴(講談社)

 このところ暮れに庭園めぐりが続いたので、大名庭園関係の本を借りていましたが、休み休み読んでいました。

 戸山公園のことを知りたくて借りたのですが、読みほどいていくと、六義園の大泉水が千川上水廃止で維持に苦労したなどのエピソードも知ることができました(飛田範夫「江戸の庭園 将軍から庶民まで」京都大学学術出版会・2009)。何冊かのムックで写真も鑑賞しました。
Garden2 Garden1

 表題の本(白幡洋三郎著、講談社選書メチエ・1997年)は、小石川後楽園の文政12年の宴席のルポの形で始まります。続いて六義園を、綱吉正室が訪れた記録をもとに人物の動きを追います。

 この本では、現代の私たちが残された庭園でしているような「鑑賞」、それもありますが、よりレクリェーションや接待などの「活用」に重点があったということを知らせたいようです。確かに、近頃いくつかの庭園を巡りましたが、ただ歩いて鑑賞するしかすべがありません。
 当時は、アドベンチャーのように、わくわくする気持ちで訪問のチャンスを待ち望んだといいます。そして接待の宴を設け、釣りに興じたり、馬術などのスポーツを楽しんだ。
 海岸沿いの汐入の庭園では、鷹狩も。

 で、件の戸山公園では宿場の建物や社寺を再現して、旅行の途中に寄った風を演出したことはいろいろな本で知っていましたが、六義園でも農村を訪れて買い物をするようなアトラクションもあったそうです。
 そのためには人形を配したり、店に土産物を準備する、あるいは田畑を世話する人間を当日は退避させて留守を装ったりの凝ったもてなしを用意します。

 修学旅行でよく訪れた京都、その庭園は確かに鑑賞用です。その美をたたえるあまり、大名庭園の機能を忘れがちだといいます。

 もう一つ、今ある程度の規模で残っているのは大名庭園が引き継がれたものですが、当時はあまたの旗本屋敷にもそれぞれ小規模ながら庭園があり、まさに江戸は庭園都市だったことです。そういえば落語「鼻ねじ」にその一端が描かれています。
 「江戸の町並み景観復元図」でも鳥瞰の高度が高すぎてそこまでは描かれていませんでした。

 それと、明治になって解放された元の大名庭園が、日本を訪問した外国人に評判になり、その趣味が外国に伝わり、コピーされたこと。

 ときどきハリウッド映画に日本庭園が出てきて、なんだかけばけばしさに胡散臭さを感じたことがありますが、それは京都の庭園のつもりで見ているからで、アミューズメントパークとしての江戸庭園とすれば正しい継承だということです。

 あわせて、「尾張藩江戸下屋敷の謎」(中公新書)・「大名庭園を楽しむ」(朝日新書)にも戸山荘を中心として、その機能が詳しく紹介されています。

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コメント

>当時は、アドベンチャーのように、わくわくする気持ちで訪問のチャンスを待ち望んだといいます。

面白そうですね。
大名庭園のそういった側面について、何も知らないことに気がつきました。
紹介していただいた本を読んでみようと思います。

私がいま読んでいるのは『蕎麦と江戸文化―二八蕎麦の謎』(笠井俊弥)という本です。
よく言われる二八蕎麦という言葉の由来「値段が十六文」「蕎麦粉とつなぎの比率」に疑問を呈して、俳諧・狂歌等を引用して検討していきます。
引用が多いので読むのに時間が掛かりますが、その分説得力が有って面白いです。

snobさんなら既読かもしれませんがまだなら如何ですか?
少々古い本なので書店で見つけるのは難しいかもしれませんが、図書館なら蔵書しているところが有るようです。

投稿: nam | 2014年1月14日 (火) 19時37分

江戸の食文化の本は概説ばかりで、一つに絞って解明する類の本はまだ手をつけてません。

>図書館なら

23区中19の区立図書館にありました。

>如何ですか
候補に入れておきます。締め切りを過ぎて読み終わらない本もあるので…

投稿: snob | 2014年1月14日 (火) 20時02分

 ブラタモリで、タモリが浅草の仲見世通りの途中に入り口のある伝法院を訪れた時に、東京には世界の町でも有数の広い庭園が残されているって語ってました。その理由は、大名屋敷と寺社が広大な土地を所有してその土地が現代にも多く残されているからだそうです。

 江戸の町人が住む場所は非常に狭かったので、九尺二間の長屋になっちゃうんですね(^ω^)

投稿: 藪井竹庵 | 2014年1月15日 (水) 07時31分

 伝法院はときどき公開するので、入ったことがあります。つい最近もTVでやっていて、方向によっては高いビルが入らないで、江戸時代のまま、と紹介してました。

>世界の町でも有数の

 それがほとんどなくなってしまった… 明治のころにそれを惜しんで記録(文書と図面)を集めるのに専心した人がいたそうです。維新・震災・戦災があったとはいえ、ほとんどが失われたのは惜しいことです。

 それだからこと、「見たい」のですけどね。

投稿: snob | 2014年1月15日 (水) 07時43分

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