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2016年1月25日 (月)

浮世絵の闇

一応。このあとの記事は審判するだけの知識はありません。ただ傍からおもしろがっているだけのことであります。   
   
もともと風景浮世絵にしか興味がなかったのが、「春画」~「肉筆美人画」と弾みがついて、人物浮世絵への関心も少し高くなりました。    
だから、先ごろ「美の巨人たち」で幻の歌麿浮世絵「深川の雪」を扱ったのを録画して見てしまいました。    
同じ題材で数年かけて取材をした「歴史秘話ヒストリア」「日曜美術館」でも昨年放送があったのですが、わりとマークしている番組なのに見た記憶がないので自分の気持ちが変わった現れです。    
   
深川の岡場所の料亭で、遊女や芸者、女中など26人の女性が思い思いに過ごす様子が描かれた鮮やかで美しい絵です。いったん外国に流出、日本に買い戻され1948年にデパートの浮世絵展で公開されたそうです。しかし3日後に引き上げられてそれっきり行方不明だったものが発見されたのだというから、背後のストーリーも好奇心をそそります。これまでは白黒写真が遺されていただけでした。    
無落款ですが、浮世絵界の重鎮二人が鑑定で真筆としました。
Fukagawa_yuki       
   
番組では「謎」と煽っていたのですが、「なぜ深川とわかるか」=羽織芸者や素足の娼妓、「なぜ唇が緑か」=笹色紅、「以前の作品中の人物と酷似している」=画業の集大成、などのちょっとした謎でした。    
   
「品川の月」「吉原の花」と雪月花の三部作を成すそうで、他の2点はアメリカに。三部作とはいえ、それぞれの絵が描かれた時代はかなり離れているようで、素人目にも番組で紹介された「吉原の花」は色合いが違って見えます。他の作品の情報も読みたくなりました。
Shinagawa_tuki      Yoshiwara_hana

で、ここでグーグル先生の出番です。
わりと上位のサイトに「深川の雪」は偽作である、というものがかかりました。詳しくは国学院横山教授サイトを見つけていただくとして、「笹色紅」が浮世絵で描かれるようになるのは、歌麿没後10年近くたって英泉の時代であることが決定的としておられるようです。

驚いたことに「品川」「吉原」も明治期の偽作であるとのこと。    
   
それが本当なら、鮮やかさも人物の酷似も、それが故ということになります。偽物作者は歌麿の過去の作品から模写するしかないですからね。    
そして展覧会からの3日で撤去も開催中に偽作と気づいたからとするとピタリとはまります。 
   
どちらの結論に定まるかはわかりませんが、もうすでに権威であろうとNHKであろうと、正しくないことがあることは知っています。この番組、見たらすぐに消すつもりでしたが、しばらくとっておくことにします。

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