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2016年3月16日 (水)

「大江戸今昔マップ」(KADOKAWA)

もう江戸古地図と散歩をからめた書籍は花盛りですべてに目を通すことはできないように思えます。    
この書籍は嘉永初めの尾張屋版切絵図を見開きにならべ、その上にトレーシングペーパーを重ねるように現代地図を載せています。切絵図がそのままなので、現代地図のほうが切絵図に合わせて再構成されているのがちょっと変わってます。つまりホントの地図じゃない。    
Oedokonjaku

また実際に透けるのではなく、現代地図に切絵図が薄く印刷されているので透けているように見せて、ずれがないように仕上げてあるのがおもしろい(紙が薄いので少しは映る)。      
次のページから「散歩のポイント」のタイトルで地図各所の見どころ15カ所ほどの解説が続きます。写真付きで80文字ほどの簡単な説明です。

実はこの本を手にしたのは、内容を知りたいというより別の興味があったからです。   
PCソフトの「今昔マップ」絶版と同時にスマホ向けの同アプリも配信停止になっていることがわかりました。    
また、そのソフトのタイトルと似たこの本も不自然に短期間で新版が重ねられたことも知りました。旧版・新版を比較しようと借りましたが、そうするまでもなく理由がわかりました。差別地名問題があったのです(新版ではその他年表などの加筆があります)。    
新版のあとがきにきちんと「資料は改変しないことが原則だが、差別を助長しかねない地名は削除した」ことが書かれています。おそらくソフト・アプリにも同じ問題があったのでしょう。    

現役だった時は人権教育も職務の一つでした。子どもたちのバイキン遊びを見つけると背筋が凍ります。人を下に見て喜ぶ気持ちはそのつど潰していくのは忘れてはいけません。 自分自身、息子たちの通う幼稚園をそのことで問題視する人に出会ったときは問題の根深さに打ちのめされたました。    
それから二十年余、同和問題に関心も薄れていましたが、今回を契機にネットで探ってみると若い女性の親の出身地をめぐって彼氏の親に反対されて悩んでいる相談や、自分の住所が同和地区かどうか心配だから知りたいとか未だに見かけます。「心配」なんていう限り、知った後の事が思いやられます。まだ地名で人を判断することはちっとも止んでいないのです。   

場所を隠しておかなければいけないのは不条理なことではありますが出版社の配慮が足りなかったことは間違いありません。   

ついでにタイトルの良く似た「大江戸幕末今昔マップ」(新人物往来社・2012)も検索にかかったので借りて比べました。    
構成が同様で、見開き古地図の上に現代図が重なっています。地図の次のページに記事が続きますが、それが幕末、維新の事件の解説であることが違います。使っている古地図は同じもので、こちらのほうは「日本橋南」「白金」など 十葉余りを省いてあります。地図に続く記事は幕末のものにすっかり置き換わっています。

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