« 亀戸に寛永寺石灯籠 | トップページ | 国芳・国貞展 »

2016年5月11日 (水)

歌丸極上人生(祥伝社)

先ごろ、笑点司会引退を発表した歌丸の半世紀、山本進さんがまとめたものです。それをその発表直前にたまたま借りました。文庫ですからカバーをかけて外出に持ち出して少しずつ読んで、ちょっと前に読み終わりました。
Utamarugokujo    
一年前に、今月に笑点50年を控えて出版されたもので、読んでいる途中で引退の発表があって、来るべきものが来たとはいえタイミングにちょっと驚きました。   
   
口跡の良い、聞いていると引き込まれる噺家でもありますので、一度は生の高座も味わいたい人です。   
もともと笑点40周年を控えて発行された「極上 歌丸ばなし」(うなぎ書房)に加筆したものです。目次を比べると、笑点40年→笑点50年×2と書き換えたくらいのようです。   
   
もともと歌丸の一代記には、現代の人ですからあまり期待をしていませんでした。なかなか他にはない、この人ならではのことは、遊郭の生まれ、という点くらいでしょうか。でもそのころは歌丸の子供時代なので詳しくは描かれていません。   
   
歌丸が一度芸協を飛び出して、米丸門下に直って復帰したことや、笑点つながりで五代円楽と、歌丸が発掘した「おすわどん」をネタ交換したこと、本当は小円遊とは仲が良かったとか。   
三遊協会分裂時に誘われたけれど、復帰のいきさつから芸協を裏切ることはできないと断ったことなど。このへんは、他でエッセイか何かで読んだことがありました。   
   
しかし、修業時代に、明治生まれの名人たちと楽屋をともにした人はさすがにもう少ない。いくつかの交流エピソードは貴重なものでした。なにしろ、あの「五代目」で呼ばれる左楽からワリを受け取りに行ったことがあるのです。三木助から「ちょっと貸しな」とバチをとりあげられて鳴り物を教わるのです。わずか数行ですが、そんな場面にゾクゾクします。(普通の読者じゃないですね。ちょうどスターウォーズ・フォースの覚醒でハン・ソロが出てきた場面の感じ)   
そういえば三木助は芸協にいて、落語協会にずっと移りたがったんですね。可楽も芸協で、鳴り物に力を入れるようになった歌丸を気に入り、「反魂香」のドロは「今児(歌丸)に限る」とハマったとか。   
そのほか、どういう修業をしたかというのは興味深かったです。   
   
歌丸は司会引退後もまだ噺を覚えたいと意欲を持っています。そんな人はやはり稀有な存在です。

|

« 亀戸に寛永寺石灯籠 | トップページ | 国芳・国貞展 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 歌丸極上人生(祥伝社):

« 亀戸に寛永寺石灯籠 | トップページ | 国芳・国貞展 »