« 水道歴史館のギャラリートーク3月 | トップページ | フランス人士官の遺したスケッチ »

2017年4月14日 (金)

「落語藝談」小学館

暉峻康隆による、文楽・圓生・正蔵・小さんへのインタビュー集。1998年の発行ですが、さらに30年前、1968年に三省堂から発行としたものの新書化です。また近年、文楽パートだけ独立して発行(河出文庫)もされています。
Rakugogeidan    
   
それぞれの噺家の章は、名跡代々の紹介から始まります。そして入門のいきさつや稽古・修行の話、名跡襲名のいきさつなどを交えて、芸の取り組みを聞き取っていきます。その時に、得意の持ちネタの工夫に話題がおよぶとそこに噺のあらすじや速記そのものがはさまって落語初心者に紹介するように構成されています。(文楽なら「寝床」「船徳」「明烏」、正蔵「文七」「仲蔵」、円生「子別れ」「鰍沢」、小さん「粗忽長屋」「長屋の花見」など)    
そうはいっても各人の芸談はそれぞれ出版したものがありますので、それと違った話がそうでてくるわけではありません。そちらのほうが分量も多いわけだし。    
それでも自分の芸談には書けなかった、同時代の他の噺家に対する感想は価値のあるものでした。    
文楽が、小さんについて「盛ちゃんなるものは、あたしは惚れておったのです」 正蔵はこのごろ良くなった。「世に出るということについて愚痴があった」けれど近頃は若い者の面倒も見る。円生を「人物を出すところは人物を出して、また解説がうまいんです」とその向上を賞しています。馬生もよくなってきて人の稽古をするようになってきた。ここのとこ良くなってきたと。    
正蔵も「馬生君はあがってきた」反面、「小金治・三平は「噺だけでは生きていけないだろう」と。    
談志については文楽も小さんも暉峻も将来を案じているのが今思うと微笑ましい。    
   
また、小満んの講演で聞いた文楽が「芝浜」を稽古していたことを、この本で本人が語っていましたし、小さんが音源は残っていない(?)ようですが、「文七元結」をやって、「お久…」と呼びかけるところで客に笑われたという貴重なエピソードもあります。    
   
そして締めくくりに、かつてと現在(対談時)の客の変わり方、そしてこれからの落語会への思いを聞き取るのですが、これが暉峻氏の考えを補完するように誘導しているのがあからさまで、おもしろい。    
この当時は落語協会会長は円生が勤めていましたが、小さんが将来の設計を語っています。その通りには現在なっていませんし、新作に関する著者の希望も叶っていません。    
時代が過ぎてからこういう本を読み返すのも一興です。

|

« 水道歴史館のギャラリートーク3月 | トップページ | フランス人士官の遺したスケッチ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「落語藝談」小学館:

« 水道歴史館のギャラリートーク3月 | トップページ | フランス人士官の遺したスケッチ »