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2017年12月

2017年12月30日 (土)

大江戸子守酒(リイド社)

ラズウェル細木のコミック(電子版)を久しぶりに購入しました。「乱TWINS」に3年ほど連載した短編がまとまりました。酒飲みマンガと子育てマンガで世に出た作者が両者にさらに江戸味を加えた作品です。作者はいくつもの長期連載を描き続けているのに、リイド社の時代マンガ雑誌ではいつも単行本1冊分で完了するのが通例でした。しかし今回は異例のキャラ再登場でうれしい限りです。棒手振りの酒売りが、子育てを楽しんだり苦労したりしながら、江戸の年中行事を過ごしていきます。

おなじみの七夕や初夢などの行事ばかりではありません。売り買いごっこをする「恵比寿講」なんてのはマンガで描かれるのは珍しいのではないでしょうか。ストーリーはたわいがないのがラズウェルの作風ですが、コマの中にしっかりと江戸の日常のイメージが描けていると思います。お食い初めは今も残る風習ですが、大掃除に鯨汁なんてのも画で見せてもらいと無くなってしまったものに命が吹き込まれる感があります。

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これと「美味草子」は今回のように続編を続けてほしい作品です。同じくリイド社で連載した「食べコロジー」「酔いどれ紀行」には手を出しませんでしたが、同じ世界の中での共演があるのなら見てみたい。

「風雲児たち」以外で久方ぶりのコミック購入でしたが、明けて正月にはその「風雲児たち」のドラマ化が放送されます。実写化されたときに残念なことってよくある話なので楽しみでもあるし怖いようでもあります。

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2017年12月24日 (日)

めでたい北斎

すみだ北斎美術館の定期レポートです。たとえば台東区の一葉記念館、個人をテーマにした施設ってたいへんだと思います。若くして世を去った一葉の遺した作品は小説二十数編。日記などから作家のいろいろな面を取り上げるといっても限度が出てきます。

大量の作品を残している北斎としたって、ときには同じ絵を違う企画でとりあげることも必要になります。北斎漫画なんかは毎回あるようです。それでも途切れることなく特集展示を定期的にやってくれるので、北斎美術館は小さくても楽しい。それにこれまで意識したことがありませんでしたが、弟子がおおぜいいるので、今回の展示にもたくさんふくまれてました。それに今は後期展示に移行していますが、1/3程度、展示替えがあって
今回は美術館開館1周年と、新年にかけてでしょうか、「まるっとまるごと福づくし」と副題をつけて作品を集めてあります。まず、めでたい七福神。大黒・布袋などを主題とした作品のほかにも、絵の中にちょこんと置物で登場したものもあります。それだけ描きたかったor求められた材料だったのでしょう。続いて釈迦や不動明王をならべた神様オンパレード。鶴亀とか松のめでたいシンボル・草木がつづき、めでたい新年でしめくくりです。門松いがいに羽子板・凧・七草などなんでもありです。七草を刻んだあと、「七草爪」というイベントがあるということを知りました。
この展示は1月21日までです。

展示会場の向かいの講義室では、餅つきや江戸の遊びのこの日限りのイベントに参加できました。餅もテーブルの上に江戸時代の食べ方として、ずんだ・小エビなどに絡めた食べ方が紹介されていました。
新年2・3日にも正月イベントが用意されているようです。今回は江戸東京博物館は休館なのでこちらを覗いてみようと思います。

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2017年12月21日 (木)

ゴッホの日本の夢と北斎ジャポニスム

上野公園の噴水をはさんで相対する、都美術館と西洋美術館でコラボしたような展覧会が行われています。お山の下のチケット店で入手した入場券は期限が早いので続けて観覧しました。

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西洋美術館は世界遺産登録してから初めての入場ですが、何かが変わるわけじゃないですね。
江戸末期から明治にかけて陶器などの輸出のクッションとして使われた日本の浮世絵に西洋が反応してそれまでの画題・画法の転換点となった。それを概略として知っていても、西洋美術館に入場して北斎が触発したという作品の量には圧倒されます。北斎100点と西洋美術200点を集め、これも影響、あれも影響。そういわれるとそう思います。美術史の知識が全くないものにとって、浮世絵以前の西洋画には後ろを向いた人物はない・庶民は画材にならない・花は花瓶の切り花だけだったとか、知らないことばかりでした。
印象派の画家たちが浮世絵から学んだとして、ゴッホは日本を理想郷として特に追い求めたといいます。アルルを日本に見立てるまでとは思いいたりませんでした。

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都美術館にもゴッホの作品に影響を与えた最大のものとして北斎の浮世絵が飾ってありました。両美術館に「山下白雨」「神奈川沖浪裏」を見ることができます。こちらは英泉・広重・国貞・写楽と様々な浮世絵が展示されています。ただしゴッホの模写は英泉の「花魁」だけで、広重「梅屋敷」や「あたけの夕立」あるいは「タンギー爺さん」はありません。
ゴッホの死後に画業に気付いた日本人画家が主治医の家を次々と訪れて、残した作品が展覧会を締めくくっています。
たぶん、これに合わせてだと思いますが、カーク・ダグラス主演の映画「炎の人ゴッホ」が放映されました。展覧会を見てから録画を鑑賞しました。子供のころ見た際は何も感じることができなかった映画でしたが、今回はゴッホの他の画家たちや、それこそモデルになったタンギー爺さん、郵便局員、ガシェ医師が画面の中を動いているのに面白みを感じました。浮世絵関連の話題はワンシーンだけでそれほどの扱いではありません。時代で評価が変わったのか、あるいは両展覧会が拡大して取り扱っているのか。

西洋美術館「北斎とジャポニスム」は来年1月28日まで
都立美術館「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」は1月8日までです。

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2017年12月15日 (金)

大森の麦藁細工展

北斎美術館の一つ前の企画、「パフォーマー」で北斎が描いた下絵関連の展示で初めて存在を知り、たばこと塩の博物館の「近代の輸出工芸」で実物を見て知らなかった美に驚きました。江戸時代の東海道の名物だった大森の麦藁細工展が地元、大田区郷土博物館で開催中なので、泉岳寺から足を延ばすことにしました。大田区は海岸線近くは平坦ですが、今回初めて台地部分に足を踏み入れて、その起伏の激しさに大いに驚き、苦しめられました。

泉岳寺から第一京浜、品川駅を過ぎるとおなじみの旧東海道へと京浜急行の踏切を渡ります。商店街もようやく開店し始めたところでした。東海腕からそれて鉄道をくぐって台地に上がるとそこは大森貝塚でした。ここを含めいくつか立ち寄りました。大田区の武蔵野台地も探訪のし甲斐がありそうです。博物館は谷に降りる途中にあるのですけど、迷って何度もピークを上り下りして困憊しました。今の自転車はギヤ数が少ないので、坂を登り切れないところもありました。

博物館は周辺に多く住んだ文士たち押しのようです。麦藁細工の展示会場は正面に北斎の下絵(すみだ北斎美術館で見たやつ)と着色した版画(国立博物館の複製)が迎えてくれます。麦藁細工は着色した麦藁で模様を作って貼り付けたものと編み込んで動物や人形を立体造形したものがあります。展示の浮世絵の中にも大森で買った土産を手に持ったり飾ったりする様子が描かれています。唐人ラッパ(チャルメラ)の玩具と蓑笠をかぶった人形がアイコンとなっています。
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この展覧会は今月23日までです。

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2017年12月14日 (木)

赤穂浪士引き上げの道筋

討ち入りの日。朝からまず両国に移動しました。これまで何度か当日に彼らの道筋をたどってみたかったのですが、実行できました。当日ったって、討ち入りの後朝が明けてからひきあげたのですがら性格じゃありません。だいいち太陽暦だし。

早かったのためか吉良邸跡、松坂町公園には誰もいませんでした。浪士は事なりとげたあと回向院に休息を求めましたが、断られます。両国橋は当時、回向院の山門に直接向いていましたがそこは渡らずに深川に向かったので、自転車を南に向けました。ちょうど小学生の通学時間帯でした。小名木川は萬年橋で越え、隅田川の向こうに富士山を想像しました。
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永代橋付近でずいぶん時間を浪費してしまいました。それというのも「赤穂義士休息の碑」が見つからなかったのです。WEBで情報は得たのだけど、碑の位置まで地図から読み取れませんでした。浪士に休息を与えたと伝わるちくま味噌を目当てに探したからでした。おりしも工事中で、何度かその前を通り過ぎたのに視野から抜けちゃいました。
ようやく碑を見つけ、工事の塀に「甘酒のふるまいは11時から」と貼り紙に気づきました。9時前ではやってるわけもありません。どうもこの日を中心に前後数日実施されるようなので、ふるまい甘酒で浪士をしのぶのは別の機会にしましょう。
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次は築地の旧浅野邸跡の碑です。この近くは浪士も確実に通ったはずです。聖路加タワーを目印にペダルをこぎました。すでに通勤の時間帯となりましたが、築地市場は観光客の混雑が見て取れました。第一京浜を南下すればいいのですが、港区郷土資料館に寄り道とか、あえて裏側からと考えて聖坂の登攀に余計な苦労をしました。伊皿子坂を下ると右に参道を折れて泉岳寺です。

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そこで風景が一気に変化しました。参道両側にはまさに準備中の屋台でいっぱいでした。愛宕下の「切腹最中」のテントも出張っていました。参詣の人々も連なっていました。山門をくぐると線香の香りが漂います。境内の中も屋台で埋まっていました。討ち入りそばにこころ惹かれかけましたが、屋台の食べ物には懲りました。浪士墓所は天井もないのに煙が充満していました。ひととおり参拝し、寺のパンフを手に入れて浪士イベントを閉じました。
このあと西馬込まで移動して自転車を折りたたんで都営浅草線で帰宅しました。

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2017年12月 9日 (土)

日銀・貨幣資料館の錦絵展

ここは現役教師時に世界のお金の資料を貸していただいてお世話になったところです。無料で展示を見られる、ありがたい施設でいつか行こうとは思っていました。先日、所蔵する錦絵、それをアメリカに貸したことがあって資料をそっくり展示したので腰を上げました。「19紀日本の風景:錦絵にみる経済と世相」という題です(終了)。
ついでに東京駅地下で「東京バナナとコラボしたキットカット」を買おうというのも目的の一つです。
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施設が施設ですから、入場するには手荷物検査、金属探知ゲートの通貨が必要です。残念なことに内部の撮影が禁止ですから、検査の後、カメラはバッグにしまってロッカーに置きました。
2階に上がるとヤップ島の石貨が迎えてくれます。展示室は古代、中世、近世、近代と順に貨幣・紙幣を並べてくれていて、貨幣経済が発達した江戸時代にはスペースを多く割いています。古代では和同開珎をもう「わどうかいほう」とは読まないと書いてありました。一般生活では学説の変更とか気づきませんよね。百両箱や銭差しを持ち上げて時間するコーナーは健在。大判や分銅金もレプリカに触れるというのは楽しい経験です。
写真撮影はできませんが常設展示についてはHP上のデジタルブックが充実しています。

企画展示ですが、明治期の錦絵だけでなく、ちゃんと幕末の浮世絵もありました。こうやって並んでいるのを見ると浮世絵の名手のほうが何枚も上手です。日銀と浮世絵ってどう結びつくのかと思いましたが、例えば歌舞伎で金をばらまく場面や酉の市(=金運)とかちゃんと関連付けがありました。明治のものは日銀の建物を描くなど直接的です。また幸福・富を希う福神絵というジャンルのコレクションもありました。
企画展はしょっちゅう開かれるわけではなさそうで、この展示会はアメリカから帰ってきて2度目。富くじの企画展もあったようで、気に留めていればまた見るべきものがあるかもしれません。

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